最近、経済倫理の本(「プレップ経済倫理学」柘植尚則著 弘文堂 2014/10/20)を読んだのですが、その中で面白いと思ったことを書いてみようかと思います。
その本の中に宗教と経済という項目があり、キリスト教、イスラーム、仏教、儒教とそれぞれの宗教的な経済の歴史などが書かれていました。その中でも私が面白いと思ったのはイスラームの経済の考え方です。
イスラームは聖典「クルアーン」をもとにして考えられたイスラーム法「シャリーア」に書かれている定めに従い生活をしています。
経済活動もクルアーンやシャリーアを元に考えられているため、ほかの国とは違った金融の考え方を持っているのです。
クルアーンには「アッラー(神)は商売はお許しになったが、利息取りは禁じられた」と記されています。そのためイスラームでは利子を取ることを禁止しています。
具体的には、元本が保証される形での貸付けを行い、利子を取得するものであり、これをアラビア語で「リバー」というそうです。
リバーはシャリーアに反するものとして厳しく禁じられています。
何故リバーが禁じられているかというと、イスラームでは
商売では誰もがリスクを負わなければならず、そうして得られた利益だけが正当な利益だと考えられており、借り手だけがリスクを負い、貸し手が全くリスクを負わないリバーは不労所得だからなのです。
こうした考え方の背景にはアッラーのもとではあらゆる人が平等である、という考え方があります。そこで商売においては人々が対等な立場で直接取引が原則とされています。
では、イスラームでは銀行はないのか?と思ったのですが、イスラームにも銀行は存在します。
銀行は存在しますが、リバーのような不当な利子を取るようなことはしていないそうです。
宗教的な考え方により、ほかの国で普通に行われている銀行業が禁止されているというところがすごく面白いと思いました。
宗教を知るということは世界の動きを知るうえでとても大事なことだと思いました。占いをしているとクライアントには色々な専門の方もいらっしゃいますし、そうした方々のお仕事のご相談をお受けすることもよくあります。そうした時、自分が知らない分野でもカードは的確にアドバイスをくれますが、こうした日常とはあまり関係ない、でも世界の流れの大きな一部の根底にあるものをどれだけ多く学んでいるかが当然占いにも大きく影響します。これからも色々な分野の本をたくさん読んで、今回のように面白い本があったらぜひご紹介していきたいと思います。