「ウエイト版あれこれ」というタイトルで今まで色々なウエイト版を紹介してきました。(1)~(3)はパメラによる元々のウエイト版の色々なバージョンを、(4)では描きなおされたウエイト版をご紹介しました。
今回は今までとは違い、ウエイト版の構成と構図を踏襲しながら作られた新しいカードをいくつか紹介したいと思います。これを通称「ウエイト系カード」と言います。実際今世の中に出回っているタロットカードの殆どがウエイト系といってもよいのですが、その中でもしっかりと原型はとどめながら全く新しいものとして生み出されたものをいくつかご紹介します。
まず最初は「The Modern-Medieval Tarot」です。
ご覧のように写真のコラージュで作られたタロットです。
愚者はかなり大胆に構図を変えていますが、こうした構図の大幅な転換をしているのは一部で、多くは写真の一番左側の外箱裏側に描かれているようにウエイトの構図を守っているものが多くを占めます。
次は「The Herbal Tarot」です。
これはウエイトの構図にハーブを関連付けて描かれたものです。非常に面白い試みだと思いますが、今一つそれが生きている感じではないのが残念です。でも、ウエイト版にできるだけ忠実であろうとする作者の意図と熱意は感じられるカードです。
ちなみにこのカードは、日本語訳の解説書付きの物(カードは輸入したままのオリジナル)もありますが、この日本語訳は出来が良いとは言えず、かえってない方がましなのでは?というくらいのものです。ですから書店で見かけて「あっ!日本語訳付きだ!」と喜んで買ってしまうと後で非常に後悔します。
その次は「CONNOLLY TAROT DECK」です。
これはウエイトの指定した構図をパメラから離れて独自に描きなおそうとしたカードです。実際に占ってみたときに合う合わないというか、好き嫌いというか、そういう感覚的な感じで好みが分かれるカードだと思います。
そして「TAROT OF THE RENAISSANCE」です。
これは元々は1988年に大アルカナだけのカードが別タイトルで限定版として出ていましたが、2000年に小アルカナが加わったデッキとして名前を変えて再登場したものです。
愚者のカードのようにウエイトから構図は離れたものもありますが、だからといって大きな違いを実際の占いでは感じさせず、ウエイト版を読むときと同じように意味を取っていけば良いように作られているデッキです。その意味では王道のウエイト系と言えるでしょう。
非常に柔らかなタッチで、優しい感じですが意外と鋭くきつい出方をすることもあって、油断できないカードです。油断できないといえば私はこのカードはなかなか読みにくくて苦労するのですが、師匠は占いやすい」といって愛用してされていますので、たぶん上級者向きのカードなのだと思います。もっともこれは別の機会に書こうと思っていますが、このカードに師匠は元々ちょっとした思い入れがあるようなので、それもあるのかもしれません。
続いて「TINY TAROT」です。
これは比較がなくて恐縮なのですが、
「1円玉大のカード」
なのです。
カード自体はウエイト版をかわいらしく柔らかいタッチで描きなおした感じの絵で特に特記する特徴はないのですが「ともかく小さい」カードです。プラスチックの結構しっかりした入れ物にボール状のチェーンの輪っかがついている色々な意味でかわいいタロットです。しかし、これを使うのは小さすぎて難しそうです。もっとも、こういう小さいカードは「日本のメーカーが作ったらかなり良いものができるのではないかな?」と思いました。
最後は「GUMMY BEAR TAROT」です。
海外では有名なお菓子(グミキャンディ)のくまがモチーフになって可能な限り忠実にウエイト版を再現しようとしています。でも、くまだけに限界があります(笑)
しかし!このカードはかなりシビアな出し方をしてきます。油断するとそのままクライアントに伝えたらグサグサ刺さってしまって気の毒なことになりそうなので、言い方を考えなければいけない、と思うことがよくあるくらいシビアなカードです。一人占いで自分のことで開くと、慣れないうちは結構傷つくかもしれません。恐るべきくまです(笑)
以上、写真のコラージュ、描き直し、大きさの遊び、モチーフの転換(グミのくま)という感じに「ウエイト版はどのようにアレンジされていくのか?」という例として、代表的なパターンをご紹介しました。こうした「ウエイト系」はまだまだたくさんあります。それこそウエイトの指定した順番などは踏襲しているものの、神話やおとぎ話、物語や有名な人物の生涯、SF、吸血鬼、魔女等をモチーフにしたもの、どう考えても18禁、下手な場面で使ったらセクハラになってしまいそうなカードまで「ウエイト系」にはあります。
でも、度のウエイト系も今回ご紹介したような変形のパターンに何かを組み合わせた感じのものがほとんどですので、これらをよく見ておいていただけば、あとはウエイト版を読むときの読み方を自分なりにアレンジしていけばよい、というのが徐々にわかってくると思います。また、そんな形で参考にして頂ければと思って今回のカード選びをしました。
ウエイト版について(1)~(5)までかけて色々書いてみました。まだまだ私も勉強不足のところが多いので、間違いもあるかもしれません。もしそうした間違いなどお気づきの方がいらっしゃいましたらぜひ教えてください。